給与計算アウトソーシングサービスの一環として提供されることもある、マイナンバー収集代行・管理サービスについて紹介。サービスの概要や内容、法制度対応で企業が準備すべき内容などについてまとめました。
企業の人事部や経理部におけるマイナンバーに関する業務を代行するサービス。従業員の個人番号の収集から、高度なセキュリティ下による保管、法定調書への記載などの利用、退職等により不要となった個人番号の廃棄に至るまで、マイナンバー制度に関わる一連の対応を代行することができます。
代行サービスの最も直接的なメリットは、時間と労力を要する業務から担当部署を解放できることです。
委託可能な業務範囲は下記の通りです。
これらの業務を外部委託することで、人事・総務・経理部門の担当者は、年末調整などの繁忙期における業務負荷から解放され、人材育成や事業戦略に貢献するコア業務に時間を再配分できます。
マイナンバー制度は法的要件が複雑で、頻繁に法改正が行われるため、企業にとって大きな課題となっています。専門業者を使うメリットとして、個々の企業では構築困難な専門的セキュリティインフラを使った高度なセキュリティ体制、社内の知識不足や情報収集の遅れによる違反リスクを大幅に軽減によるコンプライアンス違反リスクの低減があげられます。
専門業を活用することで、OCR技術によるデータ入力の自動化、専用コールセンターの設置など、最適化された業務フローによる正確性とスピードの向上や特定の担当者に依存する属人化リスクの解消、人事・管理部門全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速があげられます。
代行サービス利用における深刻なリスクが情報漏えいです。特定個人情報であるマイナンバーの漏えいは、企業の社会的信用を失墜させ、厳しい法的罰則を招くだけでなく、従業員、顧客、取引先からの信頼を一夜にして失い、事業継続に深刻なダメージを与える可能性があります。
漏えいの原因は多岐にわたります。外部からのサイバー攻撃、たとえばランサムウェアや不正アクセスといった脅威だけでなく、委託先従業員による誤操作や紛失といった過失、さらには不正な持ち出しや目的外利用といった故意による不正も含まれます。これらのリスクは、収集から廃棄に至るデータライフサイクルのあらゆる段階に潜んでおり、一度でも発生すれば取り返しのつかない結果を招く可能性があります。
アウトソーシングの落とし穴が、この法的責任です。マイナンバー法第11条は、委託元企業に対し、委託先が特定個人情報の安全管理を適切に行うよう「必要かつ適切な監督」を行うことを義務付けています。この責任は、契約によって委託先に転嫁したり、放棄したりすることは絶対にできません。
監督義務の内容は広範囲に及びます。まず契約締結前には、委託先の情報管理体制や経営状況について徹底したデューデリジェンス(適正評価手続き)を実施しなければなりません。次に契約締結時には、セキュリティ要件、秘密保持、監査権などを具体的に盛り込んだ契約書を作成する必要があります。そして契約後も、委託先が契約内容や法規制を遵守して業務を遂行しているかを、定期的または随時に確認・把握し続けなければなりません。
さらに複雑なのが再委託の問題です。委託先が業務の一部をさらに別の業者に委託する場合、委託元企業の監督義務は再委託先、さらには再々委託先にまで間接的に及びます。委託の連鎖が長くなるほど管理は複雑化し、情報漏えいのリスクは指数関数的に増大していきます。
企業が外部委託に踏み切る動機の1つは、煩雑な事務作業の負担軽減です。しかしマイナンバー法は、その対価として「委託先の監督」という極めて重い法的義務を課します。この監督義務を適切に果たすためには、契約前の広範なデューデリジェンス、法務・セキュリティ観点からの厳格な契約交渉、契約後の継続的なモニタリングや監査が不可欠となります。
この「監督業務」は、元々のデータ収集といった事務スキルとは根本的に異なる性質を持っています。法務、情報セキュリティ監査、ガバナンスといった高度な専門知識が要求されるのです。つまりアウトソーシングは業務を消滅させるのではなく、「大量・定型的な事務作業」を「少量・非定型的で高リスクなガバナンス業務」に変質させます。この新しい業務の存在を認識せず、適切なリソースを割り当てなければ、監督義務違反という致命的なコンプライアンス不履行に陥るリスクがあります。
アウトソーシングには、直接的・間接的なコストが発生します。直接コストとしては、サービス導入時に発生する初期費用、管理対象従業員数に応じた月額または年額の従量課金、そして法定調書の作成代行や郵送対応などの基本サービスに含まれない業務に対するオプション料金があります。
しかし見過ごされがちなのが間接コストです。委託先の選定に要するデューデリジェンス、弁護士による契約書のレビュー、そして契約後の継続的な監督・監査活動など、委託先を管理するために社内で発生するコストも十分に考慮する必要があります。これらの隠れたコストを含めた総コストを正確に把握しなければ、アウトソーシングの真の費用対効果を判断することはできません。
短期的な効率化を追求するあまり、長期的な戦略的リスクを招く可能性もあります。外部委託に全面的に依存することで、マイナンバー関連の法規制や実務に関する社内の知識・ノウハウが徐々に失われていきます。将来的に内製化に戻したり、委託先を変更したりしようとしても、対応できる人材が社内に存在しないという事態に陥りかねません。
さらに深刻なのがベンダーロックインの問題です。データの移行や業務プロセスの切り替えには多大なコストとリスクが伴うため、一度特定の業者に委託すると乗り換えが困難になります。その結果、将来的な価格交渉力が低下したり、サービスの質が低下しても容易に変更できないといった問題が生じ、企業の戦略的自由度が著しく制限される可能性があります。
事業者のマイナンバー対応では、組織として基本法方針を策定して、特定個人情報等の適正な取り扱いを確保する必要があります。また、併せて実際の取組を具現化するための特定個人情報の取り扱い規定の策定も必要です。
基本方針や取り扱い規定は、業務プロセスの見直しや情報システムの改修・整備、内部統制、監査体制の整備など、マイナンバー制度導入準備に関わる指針となります。そのため、企業の事情に対応した取扱い規定を策定することが重要です。
マイナンバー法及び事業者の事業に関連するガイドライン等の指針を整理して、特定個人情報の取り扱いに関する遵守事項を特定します。また、特定した遵守事項について、関連する社内規定や帳票・様式等の種類と整備状況を整理。さらに、関連するリスクと安全管理の対応方針を整理する必要があります。
事業者の名称、関係法令、ガイドライン等の遵守、安全管理措置に関する事項、問合せや苦情対応窓口などについて基本規定を定めます。また、安全管理方針の策定で検討された、組織体制や区域管理、漏洩防止、アクセス制御などの安全管理措置を織り込んだ特定個人情報の取り扱い規定を作成する必要があります。
策定した取扱い規定に関連する社内規定の見直しを行います。具体的には、特定個人情報の取り扱いに関連する業務分掌規程、文書管理規定、情報セキュリティ規定などの見直しやマニュアル、事務フローなどの整備が必要です。
関連する社内規定の見直し内容に基づき、社内の業務運用に関わる関連帳票・様式の見直しを行います。具体的には、個人番号提供依頼書、利用目的通知書などの様式や特定個人情報管理台帳などの整備が必要です。
給与計算アウトソーシングサービスでは、オプションとして提供されていることが多いマイナンバー収集代行・管理サービス。サービスには、システムに登録したマイナンバーおよび本人確認データの完全な削除、個別IDによるアクセス権の制御、認証コードによる不正アクセスの防止、暗号化通信をはじめとするセキュリティ対策などがあげられます。
また、毎月の入社者からの継続的なマイナンバーの収集、本人確認サービスや源泉徴収票や年末調整の申告書類などへの利用、管理を安全に行うサービスを提供している会社もあります。
「繁忙期だけ依頼したい」「自社の成長に合わせて必要業務だけ依頼したい」「急な引継ぎに対応してほしい」など、アウトソーシングを依頼する際の課題は様々あります。
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