マイナンバーの安全な廃棄方法とは?

廃棄の可否は「保存期間」と「起算日」で決まります。さらに、社内廃棄なら記録簿の整備、外部委託なら契約と監督、証明書の保管が欠かせません。この記事は、保存期間の一覧と起算日の数え方を軸に、実務担当者がいますぐ整えられる運用要件を解説します。

【いつ?】マイナンバーの廃棄・保管期間の正しい知識

マイナンバーの廃棄を検討する上で最も重要なのが、「いつ廃棄すべきか」というタイミングです。マイナンバー法では「不要になったマイナンバーは速やかに廃棄する」と定められていますが、関連書類には法律で定められた保管期間があり、すぐに廃棄してはいけないケースがほとんどです。ここでは、正しい廃棄のタイミングと保管期間について詳しく解説します。

退職者のマイナンバーは原則「7年間」保管が必要

従業員が退職した場合でも、そのマイナンバーが記載された書類をすぐに廃棄することはできません。これは、税法や社会保険関連法によって、企業に一部書類の保管が義務付けられているためです。特に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「源泉徴収票」といった税務関連の書類は、法律で7年間の保存が定められています。

マイナンバーが記載されている他の書類には、より短い保管期間が設定されているものもありますが、実務上は最も長い期間に合わせて一括で管理するのが一般的です。そのため、退職者のマイナンバー関連書類は、退職後も最長で7年間は適切に保管し、その期間が経過した後に速やかに廃棄する必要があると覚えておきましょう。

【一覧表】マイナンバー関連書類の法定保存期間(7年・4年・2年など)

マイナンバーが記載される書類は、その根拠となる法律によって保管期間が異なります。自社でどの書類を扱っているかを確認し、それぞれの保管期間を正確に把握しておくことが重要です。主な書類の法定保存期間は以下の通りです。

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保管期間 主な書類の種類
7年 ・給与所得の源泉徴収票
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
4年 ・雇用保険の被保険者に関する書類
3年 ・労災保険関係書類
2年 ・健康保険、厚生年金保険関係書類(社会保険)
・雇用保険関係書類(被保険者に関する書類以外)

これらの期間は法律で定められた義務であり、期間が満了した書類を正当な理由なく保管し続けることは、マイナンバー法に抵触する可能性があります。書類を保管期限別に整理し、期限が来たら確実に廃棄できる体制を整えることが、適切なマイナンバー管理につながります。

保管期間の数え方(起算日)に注意しよう

保管期間を正しく守るためには、「いつから数え始めるか(起算日)」を正確に理解しておく必要があります。起算日を誤ると、必要な期間保管しなかったり、逆に廃棄すべき期間を過ぎて保管し続けたりする恐れがあるため注意が必要です。

例えば、保管期間が7年と定められている税務関係書類の場合、その起算日は「書類の提出期限が属する年の翌年1月10日の翌日」とされています。具体例を挙げると、令和6年分の扶養控除等申告書の場合、その提出期限は通常、令和7年の1月です。したがって、起算日は令和7年1月11日となり、そこから7年間保管する必要があります。このように、単に「退職日から7年」ではない点をしっかり認識し、正確な廃棄スケジュールを管理することが求められます。

保管義務のない書類は事務処理が終わり次第すぐに廃棄

全てのマイナンバー関連書類に長期の保管義務があるわけではありません。法律で保管期間が定められていない書類については、マイナンバー法の大原則に立ち返り、「その事務処理を行う必要がなくなった時点で、できるだけ速やかに廃棄」しなければなりません。

代表的な例が、従業員の本人確認のために取得した「マイナンバーカードのコピー」です。本人確認という目的が完了すれば、そのコピーを保管し続ける必要はなく、むしろ速やかに廃棄することが推奨されます。不要な特定個人情報を社内に保有し続けることは、情報漏えいのリスクを高める原因となります。法定保存が義務付けられている書類とそうでない書類を明確に区別し、保管義務のないものは事務処理が完了次第、確実に廃棄するルールを徹底しましょう。

【どうやる?】書類・データ別の具体的なマイナンバー廃棄方法

保管期間を終えたマイナンバーは、法律の定めに従って「復元できない方法」で廃棄しなければなりません。単にゴミ箱に捨てる、ファイルを削除するといった安易な方法では、情報漏えいのリスクが残り、法律違反と見なされる可能性があります。ここでは、媒体別に具体的な廃棄方法を解説します。

書類(紙媒体)の場合

紙媒体で保管しているマイナンバー関連書類は、第三者がその内容を読み取れないよう、物理的に復元不可能な状態にする必要があります。企業のセキュリティポリシーや排出する書類の量に応じて、主に以下の方法から選択します。

データ(電子媒体)の場合

パソコンやサーバー、USBメモリなどの電子媒体に保管されているマイナンバーデータは、紙の書類以上に慎重な取り扱いが求められます。OSのゴミ箱機能を空にするだけの単純な削除操作では、専用のツールを使えば簡単に復元できてしまうため、決して十分ではありません。以下のいずれかの方法で、データを完全に消去する必要があります。

いずれの方法も専門知識が求められるため、自社での対応が難しい場合は、信頼できる専門業者に委託することを強く推奨します。

廃棄せずに保管したい場合は「マスキング処理」を行う

法定保存期間が過ぎた書類は、原則として廃棄しなければなりません。しかし、実務上の理由から、マイナンバー以外の情報が記載された書類本体は、その後も保管を続けたいというケースもあるでしょう。

そのような場合は、書類に記載されたマイナンバーの部分のみを復元不可能な状態にすることで、書類自体は保管し続けることが認められています。この処理を「マスキング」と呼びます。具体的な方法としては、マイナンバーが記載されている箇所をマジックペンなどで完全に黒く塗りつぶす、その部分だけを切り取ってシュレッダーにかける、といった方法が挙げられます。重要なのは、誰が見てもマイナンバーを読み取れない状態にすることです。マスキング処理を施すことで、法律の要請を満たしつつ、必要な情報を手元に残すことができます。

マイナンバー廃棄で必ず守るべき3つの注意点

マイナンバーの廃棄は、ただ書類をシュレッダーにかけたり、データを削除したりすれば完了というわけではありません。法律では、廃棄のプロセスにおいても厳格なルールを定めており、これらを守らなければ「安全管理措置義務」に違反したと見なされる可能性があります。ここでは、特に重要な3つの注意点を解説します。

注意点1:自社で廃棄した場合は「誰が・いつ・何を・どうしたか」を記録する

自社内でマイナンバーの廃棄作業を行った場合、その作業内容を記録として残しておくことが義務付けられています。この記録は、企業がマイナンバーを適切に管理・廃棄したことを証明するための重要な証拠となります。法律で定められた特定のフォーマットはありませんが、少なくとも以下の項目は網羅しておきましょう。

これらの内容をExcelなどで「マイナンバー取扱記録簿」として作成・管理するのが一般的です。なお、最も注意すべき点は、この記録簿に廃棄対象のマイナンバーそのものを転記しないことです。もし記載してしまうと、その記録簿自体が新たな特定個人情報ファイルとなり、厳重な管理と将来的な廃棄の対象となってしまいます。

注意点2:外部業者に委託する際は「契約書」と「監督責任」が重要

機密文書の廃棄などを専門業者に委託する場合、単に「丸投げ」することは許されません。マイナンバー法では、委託元の企業に対して、委託先業者を適切に監督する「監督責任」を課しています。万が一、委託先でマイナンバーの漏えい事故が発生した場合、委託元の企業もその責任を問われることになります。

そのため、業者を選定する際は、価格だけでなく、プライバシーマークの取得状況や具体的な廃棄方法、セキュリティ体制などを十分に確認し、信頼できる業者を選ぶことが不可欠です。その上で、必ず「業務委託契約書」を締結し、秘密保持義務やマイナンバーの取り扱いに関する具体的なルール、作業完了後の報告方法などを明確に定めておく必要があります。委託は責任の放棄ではないことを、強く認識しておきましょう。

注意点3:委託先からは必ず「廃棄証明書」を受け取り保管する

外部業者に廃棄を委託したら、作業が完了したことを客観的に証明する「廃棄証明書」や「溶解証明書」といった書類を必ず発行してもらいましょう。この証明書は、委託元の企業が監督責任の一環として、委託先が確実に廃棄作業を完了したことを確認した証拠となります。

証明書は、業者によって紙で発行される場合と電子データで発行される場合がありますので、事前に形式や発行タイミングを確認しておくとスムーズです。さらに重要なのは、受け取った廃棄証明書をすぐに処分してはいけないという点です。この証明書自体も企業の重要な記録文書であり、関連書類の法定保存期間に合わせて、5年または7年間は保管する義務があります。他の重要書類と混ざって紛失しないよう、適切にファイリングして厳重に保管してください。

マイナンバーの管理・廃棄を効率化する3つの方法

これまで解説してきたように、マイナンバーの管理と廃棄には、法律で定められた厳格なルールがあり、担当者には多くの手間と責任が伴います。人的ミスによる廃棄漏れや情報漏えいのリスクを減らすためには、日々の業務プロセスの中に、廃棄までを見据えた効率的な仕組みを構築することが非常に重要です。ここでは、そのための具体的な方法を3つ紹介します。

方法1:マイナンバー管理システムを導入する

マイナンバーに関する一連の業務を、最も安全かつ効率的に行う方法が「マイナンバー管理システム」の導入です。このシステムは、マイナンバーの収集から保管、利用履歴の記録、そして最終的な廃棄までをデータ上で一元管理できるものです。

システムの最大のメリットは、廃棄漏れのリスクを大幅に軽減できる点です。書類ごとに異なる法定保存期間をシステム上で管理し、廃棄時期が到来したデータを自動で知らせてくれるリマインダー機能などを使えば、担当者の確認漏れを防ぐことができます。また、アクセスログが自動で記録されるため、手作業で取扱記録を作成する手間が省ける上、法律で求められる「安全管理措置」にも準拠しやすくなります。導入コストはかかりますが、長期的な管理コストの削減とコンプライアンス強化の観点から、非常に有効な選択肢と言えるでしょう。

方法2:書類を「保管期限別」「年度別」にファイリングする

紙媒体でマイナンバーを管理している場合に、すぐに実践できる効率化の手法がファイリング方法の工夫です。ポイントは、「廃棄するタイミング」を基準に書類を整理することです。具体的には、「保管期間(7年、4年など)」や「従業員の退職年度」ごとにファイルを分け、「〇〇年度退職者分(廃棄予定:YYYY年M月)」のように、廃棄予定時期を明記して管理します。

このように整理しておくことで、年に一度などのタイミングで、どのファイルが廃棄対象になるかを一目で把握でき、作業がスムーズになります。逆に、異なる保管期間の書類を一つのファイルにまとめてしまうと、廃棄のたびに中身を一枚一枚確認する必要が生じ、非常に手間がかかる上、廃棄漏れの原因にもなります。もちろん、これらのファイルは施錠できるキャビネットや金庫で厳重に保管することが大前提です。

方法3:そもそも不要な書類にマイナンバーを記載しない

管理や廃棄の手間を減らすための根本的な対策は、「管理すべきマイナンバーを不必要に増やさない」ことです。法律で定められた書類以外に、社内用の連絡網や業務上のメモなどに、安易にマイナンバーを書き写すことは絶対にやめましょう。たとえメモ書きであっても、マイナンバーが記載された時点でそれは「特定個人情報」となり、厳重な管理と廃棄の対象となってしまいます。

また、マイナンバーが記載された書類を不必要にコピーしないことも重要です。閲覧が必要な場合は、施錠された場所で保管している原本を確認するか、アクセスが管理されたシステム上のデータを見ることを原則とします。管理対象となる媒体が増えれば増えるほど、情報漏えいや紛失、廃棄漏れのリスクは確実に高まります。入り口の段階で取り扱いを最小限にすることが、結果的に安全で効率的な運用につながります。

まとめ

今回は、企業の義務であるマイナンバーの廃棄について、正しいタイミングや具体的な方法、注意点を解説しました。マイナンバーの取り扱いは、取得や保管だけでなく、法律に則って確実に廃棄するところまでが一連の業務です。

マイナンバーの適切な廃棄は、単なる事務作業ではなく、企業の社会的信用を守るための重要なコンプライアンス活動です。この記事を参考に、ぜひ自社の管理体制を見直し、安全かつ確実なマイナンバー廃棄を実践してください。

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